第153章

沈黙がじわりと空気に広がる。大島莉理は、父が何を言うつもりか薄々わかっていた。それでもその言葉を耳にした瞬間、胸の奥が小さく跳ねて、思わず固まる。

「田中尚哉は、田中辰哉の代わりにはならん」

「……お父さん、彼の肩を持つのか」

大島の父は鋭い目で娘を射抜いた。

「お前、もうあいつのことが好きになってるんじゃないのか?」

「違う!」

そんな言葉が飛んでくるとは思っていなかった。莉理は唇をきゅっと結び、慌てて否定する。

「私たち、そういう関係じゃないの。田中社長はただの上司よ」

父は長いあいだ黙って娘を見つめ、やがて視線を引っ込めた。

「……ならいい」

莉理は俯いたまま、何も...

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